改修設計コンペ

1月 20th, 20121:26 pm @


改修設計コンペ

学生限定
町家共同アトリエ 改修設計コンペ

金沢市芳斉地区にある「町家共同アトリエ」の改修設計コンペ(学生対象)を行います。
応募要項[1.32MB]
図面[264KB]
CADデータ[409KB]

※駐車場も含めた敷地全体で考えてください

受付終了致しました。
沢山のご応募を頂き、ありがとうございました!

≪選考結果≫
審査委員4名[宮下智裕(金沢工業大学准教授)、
水野雅男(法政大学教授)、
武藤清秀(むとう設計)、松本耀子(松本染物店の持ち主) ]で選考行い
応募総数7作品から以下4名に決定致しました。


最優秀賞

九尾怜施(代表)・原友望実[金沢美術工芸大学修士 1年・金沢美術工芸大学 4年]

優秀賞
綾村恭平・磯部淳己(代表)・牧野俊崇・藤本泰宣[金沢工業大学修士1年]

優秀賞
中根まみ[金沢工業大学 4年]

優秀賞
小倉まゆみ(代表)・本荘奎菜[金沢工業大学 2年]

選考の様子

≪総評≫

とても趣のある金澤町家をアーティストや工芸作家の共同アトリエへとリノベーションを行うというのが今回のコンペテーマである。新築のアイデアコンペとは異なり、現在の町家が持つ素晴らしさを如何に残しかつ新しい価値を生み出しそのポテンシャルを引き出すかという非常に難しいものであったと言える。この創出と継承の両立という難問に対し学生という若い力がどのように挑むか大きな興味を持って審査にあたった。出品数は決して多くはなかったものの、それぞれがユニークな着眼点を明確に打ち出し印象的なプレゼンテーションで表現を行っており優れた提案が多く見られた。審査の結果、最優秀作品1点、優秀作品3点を選出した。当初、最優秀作品1点のみの選出を予定していたが、魅力的な力作が多かったため審査の過程で優秀作品枠を設ける事となった。

最優秀作品の九尾・原案は、町家において通常波板が張られ放置されてしまう側面にあえて着目している。半透明の素材を用いて内部で行われるアート工芸のアクティビティーが側面から外にもれだすことで街との関係性を生み出すというとても大胆かつ独創的なアイデアである。一方、ファサードには手を触れず現状を活かし、露になった側面との対比を際立たせている点に審査員の評価が集った。内部空間にも多くの吹き抜けや半透明の壁を設け、緩やかな繋がりを持つ魅力的な空間を積極的に創り出している反面、町家が本来有している内部の空間性などは多少消されてしまっている印象も否めない。しかし、染物店からアトリエという新しいプログラムを得て交流や発信という機能を強く持つ今回のテーマにおいては、活気や活動をまちに開いて見せて行くアイコンの様なものとなる可能性を有しており、最優秀作品に相応しい素晴らしい提案となっている。

優秀作品の磯部・綾村・牧野・藤本案は、町家の特徴であるトオリニワを、外部空間を引き込んだ正に「通り」の様に見立てている。そこには白い壁を挿入し、切り取られた開口からピクチャーフレームの様に作家達の活動と町家の内部空間が映り、一つの街角ギャラリーとなる。敢えて大規模な手を加えず、このユニークな壁の挿入という手法のみで場を大きく変容させている点は非常に面白く巧みである。現実性もあり最優秀作品に引けを取らない魅力的な提案であると言えよう。

中根案は、今回の提案の中で唯一町家自体には大きく手を加えず横にある空き地空間、奥にある箱庭を主題としている。木や花を上手に使いながらデザインすることで作家、住民、客とのコミュニティーを創出しようとする詩的な美しさを持った作品である。これまで培われて来た歴史や記憶を最大限に残しながら新しい一手を加えるというリノベーションコンペならではのとても魅力的な作品であった。

小倉・本荘案は町家の基本的要素はそのまま残しながら、内部外部に作家や住民が生活の記憶を紡いで行くための仕掛けを数多くちりばめ、それをきっかけとして交流を生む場としての町家を提案している。時間という軸をデザインに取り込み住み手が造って行く空間を提案しているという点でとても興味深い作品であった。

これから歴史遺産のみならず、ストックされた建築を如何に使うか?また魅力的な建築としてより長く使い続けるために我々はどんな提案を行って行くべきか?文化や町並みを考えながらそれらを探して行く必要性は今後さらに大きくなって行く。そんな中で、今回多くの学校から若い感性で捉えたリノベーション案が提案された事に頼もしさを感じた。町家共同アトリエの実際の改修を進めて行く上で、今回示された魅力的な提案が取入れられると同時に、そこに関わる事で得られる様々な体験が学生にとって今後設計活動を続ける上で有益なものとなる事を期待している。

審査委員長 金沢工業大学環境・建築学部 准教授 宮下智裕

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